アメリカの不良娘・ベッキー VOL. 10

アメリカの不良娘・ベッキー 

やばい 見つかってしまった…..

『ヘイ、ボーイ。カムヒア』。

よ、よ、呼ばれた。ゆっくり振り向きつつ人差し指で自分の顔を指しながら。

『ぼ、ぼ。僕?』

『そう、お前。』『こっちへ来な。』

『は、はい。』とびびりながらゆっくりその男の前へ。他の男連中が数人その男の周りにもいた。
テーブルには既に料理が並んでいた。

『お前名前なんて言うんだ? おれはジョンだ。』とスティーヴ・マックイーン似の男が話しかけてくる。

びびりながら『ボンです。』

『ボン。お前日本人らしいな、おれに箸の使い方を教えろ。』みると箸を使って料理をつかもうとしているのだが、基本的な使い方では無いので悪戦苦闘している。

で。『これはこうもって、これがあーで、こーして…』と僕の持つありったけの神経を使って、天皇陛下に説明するように懇切丁寧にお教えした。

と、使えるようになった。

するとジョンは急に雄叫びを上げた。僕はびっくりして頭が天井につくかとおもうくらい垂直に飛び上がった。

ジョンが他の連中に向かって、箸を高々と上げた。と、他のひげ面の連中も一斉に雄叫びを上げた。

この隙に逃げだそうと忍び足でゆっくりUターンをしたら、またジョンに呼び止められた。

『こっちへ来て座れ。おい、そこの!ボンのために椅子を空けろ!』

こわ〜〜〜。

空けられた椅子に着くと、ジョンがおもむろに右手を左胸のポケットに突っ込んだ。

ピストルか? おいらはここで死ぬのか? 親切にしただろう! アーメン。

するとジョンは左胸のポケットから、紙に巻いたタバコを取り出し、二本の指でタバコの端をつまみながら、口の中に入れてぺろぺろとなめだした。
その後おもむろに火を付けた。

『吸え!』『は、は、はい』。
ジョンがはき出す煙を見ながら見よう見まねで吸ってみた。『マリファナである』。

しばらくすると効いてきた。マリファナにやられた僕は頭がくらくらしてきて、自然に笑顔になっていた。

するとジョンが近づいてきて僕と肩を組み、『フレンド』、とひげ面連中に呼びかけた。

またまた、雄叫び合戦。はっきりいって大男の雄叫びは五月蠅いが、なんと自分も雄叫びを上げていた。

ベッキーがディナーの料理を運びながら『ボン、良かったわね、これでかれらに認められたのよ、同士よ』。

嬉しかった! というのはマリファナのせいである。はっきりいってもうどうでも良かった。

ドゥービーブラザーズの音楽を大音量で鳴らして、しこたまビールを飲んで、ひげ面野郎と楽しんだ。

その後起きる僕の人生を狂わす大事件の始まりであった。

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